『心の交歓室』2011年2月のダイジェスト

2月5日  手にした本から その4

 1月から2月初旬にかけて手にした本を紹介します(ジャンル・順不同)。

一部、購入の動機、読後感を記してあります。併せ僕の偏見による僕だけの評価も記号で表示します。反論、共感、伝えてくだされば幸いです。

◎ とてもいい本。この本に出会えてよかった!オススメです。

○ 趣味が合致したら、機会を見つけて一度は目に通してはいかが?+・−度も加えています。

△ 偶然目にして、時間とお金があったら手にしてみてもいいかな?って程度。

× 時間とお金と、そして資源のムダ

◎ 本田哲郎  『聖書を発見する』(講義録―2010.11岩波書店)―『釜ヶ崎と福音』を読んで衝撃を受けたカトリック司祭の最新刊。「飢えている人、渇いている人、国外から難民として来ている人、身にまとうもののない人、病みおとろえた人、犯罪者として拘束されている人、そのような人の側、すなわち社会でいちばん小さくされた人の側に神はいる、ということです。クリスチャンか否か、宗教の有無、国籍の関係なしにです」、聖書を文脈を見通して読み直すことと釜ヶ崎での生活から得られた聖書理解は深く重い。昨年末釜ヶ崎に入った長男・信は本田神父に会えたそうだ。

△ 則竹秀南  『六甲の清水』(講演録―2011.1日本講演会)―妙心寺 塔頭 ( たっちゅう ) 霊源院住職の人生講話。まぁ毒にも薬にもならない世間話。

 落語CDムック  『立川談志―22011.1竹書房―第2集の演目は『黄金餅』と『野晒し』。完成度はさすがに『芝浜』にはかなわないけど、『黄金餅』の道中付けの演出には脱帽。

 野中裕  『カール・リヒター論』(ノンフィクション―2010.1春秋社)―1969年5月5日、僕は東京文化会館にいた。リヒター指揮のマタイ受難曲を聴き恐ろしいほどの感動を覚え、残り少なかったロ短調ミサのチケットを求め9日再度東京文化会館に足を運んだ。1966年生まれの著者に言わせると伝説のコンサートツアーだそうだ。いずれもライブCDで聴ける。「リヒターの演奏が現在でもアクチュアリティーを持つ理由について、筆者は力の及ぶ限り語ってきた」(282-3頁)とあるようにバッハとリヒターへの限りない愛と信頼に裏付けられた音楽論。専門的記述も多いが、そこを飛ばして読んでも伝わってくるものがある。

( )  S.ホーキング、L.ムロディナウ・共著、佐藤勝彦・訳  『ホーキング、宇宙と人間を語る』(ノンフィクション2011.1エクスナレッジ)―難しい、でもおもしろい。最新の宇宙物理学から「この宇宙はなぜあるのか?」という『存在の神秘』を解き明かそうとする道筋は良質のミステリーと言っていい。ホーキング博士は「何らかの神的な存在に訴えることなく、純粋に科学の範疇で答えることが可能である」(240-241頁)との立場に立つ。仏教との違和感を僕は感じない。

( )  あわたのぶこ・作、ただはるよし・絵  『からすのワンちゃん』(絵本−2011.3フレーベル館)「キンダーおはなしえほん」3月号。作者自身の体験から発展したストーリーはカラスへの愛情が込められていてほのぼのと仕上がっている。絵も実にいい!

 かがくいひろし  『まくらのせんにん そこのあなたの巻』(絵本−2010.1佼成出版社)―次々と穴にはまってしまう動物たち、ついには「まくらのせんにんさま」も。お供の「しきさん」「かけさん」も手のほどこしようがない。こうなったら『そこのあなた』に頼むしかない。『そこのあなた』って誰?意外な結末が待っていますよ。3・4歳児向け。

 青山邦彦  『おかしのまち』(絵本−2011.2フレーベル館)「キンダーおはなしえほん」2月号。作者の青山氏は早稲田大学建築科出身。「料理と建築、どちらも人間ならではの技。だからつながっちゃうんですかね?」とは作者の弁。

 

2月5日  ウサギの『みらい』ちゃん3回忌

 明日6日(日)は保育園で飼育していたウサギの『みらい』ちゃん3回目の命日。子どもたちからの発案で3回忌のお参りをしようということになりました。全員がそろうのは4日の金曜日、いつものお参りの時間に、『みらい』ちゃんの写真と、3歳児3人がそれぞれに作った「『みらい』ちゃんの思い出」の創作絵本を持って本堂に集まりました。当時黄組だった小学生の姿も。普段よりも一段と声を張り上げて立派なお参りをすることができました。そして園長の僕が一言、「みんなが『みらい』のことを忘れていないように、『みらい』もみんなのことを忘れていないよ。幸せになろうね」と。

2月26日(土)の家族レクリェーションV(旧・生活発表会)でも子どもたちから何らかのアクションがあるかもしれません。

『みらい』ちゃんの物語については下記アドレスからご覧ください。

http://w2522.nsk.ne.jp/~siojihoiku/sanjakunodouji.htm

 

2月8日  真宗大谷派主催の『親鸞フォーラム』に参加

 6日(日)、標記『親鸞フォーラム』が東京・六本木ヒルズで開催された。パネリストに養老孟司、福岡伸一の両氏という豪華版、それに大谷大学からは昨年の高田教区安居の講師だった織田顕祐教授、コーディネーターは木越康准教授。正月早々申し込んだが、入場整理券はかなりの倍率だったようで、ぎりぎりまで参加できるかどうか分からず参加の確認が取れたのは2月1日。遅くとも1週間前、もう少し早く確認が取れるような配慮をしてほしいもの、宿や指定券の手配ができないじゃありませんか。

 開場の1時前に着き受付を済ませ確保した席は中央前から2番目と絶好の位置。開会は1時50分、本山のT参務の挨拶は通り一遍で内容がなく、このフォーラムを大谷派が主催するという意気込みが全く伝わってこない内向きのもの。個人の資質か、大谷派の姿勢の問題かよく分からん。多分両方だろうな。

 福岡教授は著作で感じていた通り、文学的センスとユーモアに富んだ口調で、分子生物学の立場から「生命」の流動性を映像を交え分かりやすく解説。内容的には著作を超えるものではないのは当然としても、生の声に触れ得た手ごたえは十分感じることができた。養老先生は直接お目にかかれただけで満足、福岡教授の発言の時には僕の前の席に座っておられたが、「高僧・名僧のオーラとはかくあらん」と思わせる雰囲気だった。

 それに引き替え大谷大学にはがっかり。織田教授、安居では真摯な仏教学徒として力のある講義だったのに、気負い過ぎかプレッシャーに耐えかねたか宗派的発言ばかりで噛み合わないし、木越准教授に至ってはコーディネーターの役も果たし得ないお粗末さ。先の参務の発言といい「開かれた宗門を!」はただの掛け声にとどまっているようだ。せっかくのいい企画なのに。

 僅か2時間のための上京だったが、プラス面としてお二人の先生にお会いできたこと、マイナス面としては大谷派の内向きの現状をじかに知り得たことで、出かけた価値は十分にあった(こととしたい)。

 

2月9日  中下大樹君と再会  

 『親鸞フォーラム』終了後、会に参加していた中下大樹君と約2年半ぶりに再会しました。初めて会ったのが2008年5月、松本市浅間温泉の神宮寺に彼がスタッフとしていた時。その後彼が大谷派名古屋別院で講演をするということで前日より東京から同行、碧南市の釈破旬氏宅で1泊して以来のことです。

 年賀状をいただき懐かしく思い出していたところに、1月9日の新潟日報所載の雨宮処凛さんの日曜エッセイに「この本(雨宮著『生きのびろ!生きづらい世界を変える8人のやり方』―筆者注)では、そんな『無縁社会』へのさまざまな処方箋も提示したつもりだ。その中でも印象深かったのは、お坊さんの中下大樹さんの活動。私と同世代で30代半ばの中下さんはホスピスで約500人をみとり、09年だけで80人ほどの自殺者の葬儀にかかわり、自殺の電話相談を受けているという人だ。(以下続く)」とあるのを見つけ、久しぶりに携帯に電話をしたというわけです。その後1月20日付の朝日新聞『耕論―孤族の国』に取材記事として上野千鶴子さんらと共に写真入りで大々的に報じられました。

  彼も『親鸞フォーラム』に申し込みをし参加できることになったというので、終了後会場で会う約束をして上京したのでした。ヒルズの待ち合わせ場所に赴くと中下君はすでに待ってくれており、隣には山谷で訪問看護士をしているというS嬢も並んでいました。帰りの新幹線まであまり時間もないので近くの喫茶店で近況を語り合ったり、S嬢の質問に答えたり、と1時間ほど雑談。その中では、二人で本田哲郎神父の話を聞きに行ったとか、『こわれ者の祭典』代表の月乃光司氏など共通の名前が出てきて話が弾みました。『フォーラム』の評価もほぼ同じでしたね。二人の雰囲気の良さと聞き上手さとにつられて、ついつい饒舌になってしまい、もっと彼の活動状況を聞く側に回るべきだったと、別れてから反省したことでした。

 雨宮さんとの対談の出版企画もあるそうで、僕としても高田教区での研修会・講演会の講師に、と呼びかけてみたいと思っています。雨宮さんの上掲本はぜひお読みください。 (写真は朝日新聞の記事から)

 

2月18日  シャルマン火打スキー場でそり遊び

 17日は能生谷のM保育園で園児の交流を兼ね雪遊びをさせていただくことになっていてお互い前々より楽しみにしていました。ところが先週末1人がインフルエンザに罹患、更に前日の16日になって新たに2人が感染したとの連絡を受け、今回は残念ながら訪問を遠慮することとなりました。

 そこで当日の朝(前日園長の僕は東京に出かけていて中止の報告を受けることができませんでした)急遽シャルマン火打スキー場でのそり遊びに出かけることにしたのでした。

 赤・青・黄組の6人は担任と9時過ぎ、先ずは絵本に親しもうと児童館に向けて出発。僕は調理員の作るお弁当ができ上がるのを待って、そり3台と大型のビニール袋数枚を積んで10時40分に児童館到着、みんなでスキー場に向かいました。天候は晴天!11時過ぎに到着すると周り一面まぶしいばかりです。

  先に腹ごしらえをして、食べ終わった順にそりゲレンデで思い思いにそり遊 びを開始。2・3回滑り降りて登っていくともう汗びっしょりです。でも子どもたちは疲れを知りません、何度行ったり来たりしたことでしょう。途中雪に埋めたチョコレート探しなども楽しみながら1時間半ほどそり遊びを満喫しました。帰路、さすがに疲れたか男の子2人は担任にもたれかけてスヤスヤ……。

 災い転じて福となす、当園の園児たちにとってはとても楽しい体験となったようです。M保育園さん、これ以上感染が拡がらないことを祈っています。そしてまたの機会に交流いたしましょう。

 

2月23日   最近手にした本から その5

2月に手にした本を紹介します(ジャンル・順不同)。

一部、購入の動機、読後感を記してあります。併せ僕の偏見による僕だけの評価も記号で表示します。反論、共感、伝えてくだされば幸いです。 

◎ とてもいい本。この本に出会えてよかった!オススメです。

○ 趣味が合致したら、機会を見つけて一度は目に通してはいかが?+・−度も加えています。

△ 偶然目にして、時間とお金があったら手にしてみてもいいかな?って程度。

× 時間とお金と、そして資源のムダ  

( )  雨宮処凛  『生きのびろ!』(ノンフィクション―2010.12太田出版)―「生きづらい世界を変える8人のやり方」というのが本書の副題。第8章であの中下大樹君が紹介されている。章の書き出しはこうだ、「私がここ数年で出会った中でもダントツにすごい人がいる。それはアクティビスト僧侶(勝手に命名)、中下大樹さん、三十五歳」(142頁)。

後の7人は残念ながら名前も知らない方たちだったが、パラパラッとページをめくってみると実にユニークで興味深い人物が登場している。

 武田定光  『逆説の親鸞』(評論―2011.1雲母書房)―長男・信から情報入手。諸名、帯に惹かれて購入したが、一読、おもしろくない。吉本隆明、芹沢俊介的思考(?)に様々な書を引用しているが、一貫性がなく、確固たる自身の立ち位置が不明瞭。

( )  古今亭菊之丞  『こういう了見』(エッセイ―2010.11WAVE出版―副題は「噺家ほど素敵で不安な商売はない!?」。最近落語関係の本に触れる機会が多い。本書、評判がいいので購入、結構楽しめたが、立川談春『赤めだか』とどうしても比較してしまう。精神性、娯楽性、文体、ともに談春に一日の長あり。

 .ゴプニック・著、青木玲・訳  『哲学する赤ちゃん』(2010.11亜紀書房)―「赤ちゃんは大人を超えている!―ある意味、大人より賢く、想像力に富み、思いやりがあり、意識も鮮明である。最新科学の知見から、赤ちゃんの驚くべき能力が次々に明らかにされつつある」(帯より)。子ども理解、人間理解が根底から揺さぶられるような著作。学術書ではないがレベルは高い。

( )  新村晃一・編集  『MOE3月号』(月刊絵本ガイド−2011.2白泉社)―今月号に特集は「泣きたい日には絵本を。」。第2章「読者に聞いた『涙が出るほど感動した絵本』ベスト20冊」、第1位は先日亡くなられた佐野洋子さんの『100万回生きたねこ』、もちろん保育園にあります。ベストテンは全部揃ってますし、20位まででも無いのは3冊だけ、結構揃っているでしょう。その他『たいせつなあなたへ』のおーなり由子さん、『おまえうまそうだな』の宮西達也さんへのインタビュー記事、『ルリユールおじさん』のいせひでこさんの特集もうれしい。

 別冊太陽編集部  『2010年版この絵本が好き!』(絵本ガイド2010.3フレーベル館)2009年に刊行された全絵本を網羅、その中から様々な分野の人たちの選んだ注目絵本28冊をピックアップ。絵本選びに役に立つ年鑑として毎年購入しています。前年度と比較するとやや収穫が少ないか?  

 玄侑宗久  『テルちゃん』(小説−2008.8新潮社)―「フィリピンから北の町に嫁いできたテルちゃん。どんな困難もふわりと乗り切って、満月みたいにおおらかで明るいテルちゃんがくれたとびきりの笑いと涙」(帯より)。いくつかの日本昔話を軸に展開するほのぼのとした佳作。

 落語CDムック  『立川談志―3』(2011.2竹書房―第3集の演目は『居残り佐平次』と『あくび指南』。『芝浜』の衝撃度を超えるものではないけど、『あくび指南』の「無為な平和」(いい表現が浮かばない)がたまんない。『居残り佐平次』はよくわかんない。川戸貞吉氏との対談、本巻が一番。志らく師匠のエッセイもグー!

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